話題のステマ!

フランスの旅最終日

早朝、二人はカッツェの希望だったネクター工場へ

 

「いらっしゃいませ!」

「カッツェちゃん、どれが欲しいの?」

「全部」

「全部だって!送ってもらえる?・・え?セレブ割引してくれるの・・?すごい助かる!!」

尻の毛まで毟られているフェンリルにとって、割引は神の福音に等しいのだ!

「ふふ!でもフェンリルさんはセレブですし、大した金額ではないでしょう?」

とんでもない!!お財布は奥さんに握られててね・・・ホント酷いの・・」

「なにか言いましたか?」

「な、なんでもないよ!あ、ボク地下の工場見てくる!」

 

 

 

逃げ出したフェンリルを他所に、早速ネクターの試飲をするカッツェ

「まったく・・・放っておくとロクな事言いませんね」

 

 

ザブーン!

「死んでやるー!!」

いびられ続けたフェンリルは逃げた先のネクタープールで飛び込み自殺ごっこ

*良い子も悪い子もマネしないでね!

 

 

ブクブクブク・・・

 

ブクブク・・

 

ブク・

 

 

一向に上がってくる気配が無い。・・もしや、本当に・・・!?

 

 

 

「プハー!予想以上にヌルヌルだったわ。ローション並みだったわ。もっかいしよ

ソープ気分で楽しんでいただけだった。死ねばいい。

 

「ふー!ネクターっていいね!喉も心(性欲)も満たしてくれるよ!」

「貴方一体何してたんですか。ぐしょ濡れじゃないですか」

「ビチョビチョ~ヌルヌル~」

気持ち悪い。いいからシャワー浴びてきなさい!」

 

 

ビチョビチョヌルヌル工場を楽しんだ後、今度は美術館へ

 

と、到着するなりカッツェの携帯が鳴る

「誰でしょう?」

「ボク、あっちの女神像のおっぱい見てくるね!」

「ご勝手に。・・・はい、もしもし?」

 

電話の内容は、土産屋による【店の口コミを三人に広めて欲しい】というものだった。

俗に言うステマ(ステルスマーケティング)というものだが、報酬が貰えるという事なので早速行動に移すカッツェ。

「なんと運命の相手と出会えるノームを売っている店があるのですが知りたいですか?」

 

「男性が持っていると局部が大きくなるそうです」

 

「サバンナで遠くのシマウマのシマを数える視力が欲しくないですか?」

 

一瞬で相手の願望を見抜き、次々と獲物、いやお客様を捕まえていくカッツェ。

ステマは大成功のようだ!

 

美術館を出て早速報告にいくカッツェ

「お客さん来たでしょう?」

「ええ!しかも全員お買い上げです!!でも皆さん、なぜかノーム人形ばかり買っていかれるんですよね、それが不思議で。なにはともあれ有難う御座います!これが報酬です」

「どうも。あと宜しければノームを苦しめられる歌など教えて頂けませんか?」

「え?あー・・呪いを跳ね除ける歌なら知っていますが・・」

「それでいいです」

カッツェはノームが大嫌いなのだ!

 

「(嗚呼・・この街のノームが全部売れてなくなればいいのに!)」

 

 

暫くすると美術館に置いていかれたフェンリルがカッツェのいる土産店に到着

「カッツェたん、こんなトコにいたのー?探したんだよー」

「あ、ちょっと今話しかけないで下さい。教えて貰った歌を忘れてしまいます」

 

「ねね、ボクにもなんか教えてよ!フランスらしいお歌がいいなぁ!」

「ではジュテームという歌をお教えしましょう。私に続いて下さい

~~~~~~~~♪

「ソープランドでヌルヌル~♪セボーン♪」

「歌詞を変えないで下さい!!!」

「カラダ火照~る~ホテルいきたーい~♪」

 

「いやだわ!変態!」

「ちょ、アレってセレブのフェンリルじゃね?」

「まさかこんな変態だったなんてね」

「ちょっと!聴かないでくれる!?恥ずかしいじゃない!ね、カッツェたん・・

て、あれ?」

 

カッツェはとうに去っていた。

 

 

 

「カッツェたんたら照れ屋さんなんだから!」

「貴方と居るのが恥ずかしいからですよ」

「また~!パスタ作って待っててくれるなんて、ボクを愛している証拠でしょ?ね、こっち来て一緒に食べようよ~」

「嫌です」

 

 

フランスの旅、ロマンスの欠片もなく終了。どうせこんなものである。